IT業界は、情報処理技術を基に発展してきました。近年は、地球規模のインターネットやモバイルネットワークの拡大により、最先端ICCNSTを技術プラットフォームとする「IoT(Internet of Things)や「ビックデータ」等のクラウドサービスがITビジネスの主流となっています。特に、米国の最有力IT4企業GAFA(Googe, Apple, Facebook, Amazon)は、ICCNSTプラットフォーマーとしてユーザーニーズにマッチしたサービスを続々と提供し、ITビジネスの支配力を増しています。
1990年代に普及し始めたパソコンやインターネットは、瞬く間に世界中の人達をネットワーク化すると同時に世界経済のグローバル化を促進しました。一方、パソコン製造は、垂直統合型から水平分業型へとビジネスモデルのパラダイムシフトにより価格競争の時代に突入し、ハードウェア機器の飽和状態となり2001年には米国や日本でITバブル崩壊の事態に陥りました。
2000年代は、世界のIT企業はハードウェア軸からソフトウェア軸へとビジネスモデルを変化させ、2004年にはFacebook等のSNS(Social Networking Service)、2005年にはGoogle map, iTune Music Store, YouTube等の日常生活で利用する利便性の高いWebサービスが開始し、今は世界中に広く普及しています。
現在、グローバル市場で通用するサービスの大半が米国発です。また、最近は、AmazonやGoogleがSecurityやAI (Artificial Intelligence)等の技術領域でも先行しています。さらに、今後は、グローバルサプライチェーンの更なる進展に伴い新興国IT企業が台頭し、日本のIT企業の製品を支えるハードウェア及びソフトウェア技術力は相対的低下していくと危惧されています。
日本車は、今でもグローバル市場で通用している商品の一つです。高度の機械技術と生産技術に支えられ高品質かつ安全・快適に優れ世界有数の販売台数を確保しています。
現時点で、大半の自動車はガソリンや軽油等の化石燃料を内燃機関(エンジン)の動力源としていますが、近年は地球温暖化対策の一環としてCo2排出量低減を目的にエンジンと電動モーターを組み合わせたハイブリッド車(HV)が実用化され、高い低燃費性から販売台数が急激に増加しています。
最近は、今後のより厳しい排出量規制を想定し、機械技術よりも電気技術のウエートが増したプラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)等が実用化され始めています。
電気技術が主となるEVで日本車が世界市場で今後も優位な販売台数を確保できるかは不明な状況です。その理由の一つが、電気技術を含むICT (Information Communication Technology)は、技術の世界標準化が活発な領域であり、我々が日常生活で利用するサービスや使用する製品のライフタイムは短くコモディティー化が急激に進展します。最先端ではなく時代遅れの中途半端なICT技術を導入しても製品の差別化が困難となり事業拡大に繋がりません。
世界の車メーカーは、付加価値の高い魅力的な車を開発し、グローバル市場でのシェア拡大を目指しています。EVだけではなくコネクティッドカーや自動運転車等の新商品創出イノベーションを加速しています。競合他社よりも優位なシェアを獲得するには、従来技術の延長線上にはソリューションは見つからず、優れた機械技術を基にICTだけではなくCNST(Control, Navigation, Surveillance Technology)を統合した高度先端ICCNSTが必須となります。
日本の車メーカーも最近は危機感を持って、従来の垂直統合型から水平分業型へとビジネスモデルをパラダイムシフトし、また、世界中の最先端ICCNST有力企業とM&A(merger and acquisition:合併と買収)も含む協業を推進しています。
日本のIT企業は、車メーカーと同様に、国内Domestic市場だけではなくGlobal市場においても自社商品のシェア獲得や競合他社との差別化が必要不可欠であり、従来の延長線上の取組みでは課題解決できず、破壊的イノベーションに積極的に取組むべきです。
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