企業の研究機関では、事業戦略に基づき自社技術について、以下の3つの領域、
① 自社のコア技術からなるクローズ領域
② パートナー企業との連携を促進するオープン領域
③ 標準化活動や知財権(特許)活用により②の優位性を確保するコントロール領域
に対する他社との競争優位性を確保するためのオープン&クローズ戦略が必須です。
①は、コアコンピタンスであり企業存続の源です。大学は研究開発成果を直ちに論文で世間に公表しますが、企業の技術開発の現場ではオープン&クローズ戦略に基づき、先ず特許出願するか否かを判断します。特許は公開が原則であり、②や③のビジネスメリットが無ければ門外不出のノウハウとした方がベターな選択となります。
数十年前は、日本の大企業の大半は垂直統合型のビジネスモデルを採用していたため、①のウェートが大きく、②もいわゆる系列企業のみがパートナー企業に成れました。③はウェートが小さく中途半端な対応しかできなくてグローバル市場展開ではほとんどが失敗しました。
21世紀に入り、特にこの10年間で、垂直統合型のビジネスモデルから水平分業型のビジネスモデルへのパラダイムシフトにより、日本の電気系企業のグローバルビジネスは大きく衰退しました。オープン&クローズ戦略を誤りオープンイノベーションの波に乗り遅れたことが原因の一つです。